妊娠・出産・子供
●妊娠・出産
・喫煙が女性の生殖力に及ぼす影響
喫煙すると、卵管末端で卵子をとらえる能力が低下し、卵巣の排卵機能が低下し、
体外受精の際にも喫煙女性から採取された卵は非喫煙女性から採取された卵より受精率が低く、
さらに喫煙による子宮内膜血流低下から子宮性不妊症も発生し、
着床しにくいことが報告されています。
・また、経口避妊薬(ピル)を服用しながら喫煙することにより、静脈血栓症、
肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中が起こる危険性が高くなるといわれています
・たばこを吸っている妊婦は、吸わない妊婦より、1.5倍ほど、
自然流産しやすくなり、1.4〜1.5倍ほど早産しやすくなります。
また、吸う本数が増えるほど、早産しやすくなります。
・たばこを吸っている妊婦は、吸っていない妊婦より、1.2〜1.4倍ほど、
周産期死亡(妊娠28週以降の死産と生後1週間未満の早期新生児死亡)が高くなります。
・喫煙妊婦では、妊娠中期の流産が特に多くなり、これは妊娠初期の染色体異常
による流産と異なり、喫煙そのものの有害作用に基づいていると推測されている。
・妊娠中の喫煙は、出生後の身体発育や知能発達の遅延も引き起こす。
・たばこを吸っている妊婦から生まれた子どもの出生時の体重は、
たばこを吸わない妊婦から生まれた子どもに比べて平均200g軽く、身長は1.22cm、頭周りが0・66cm小さい。
また、出生時の体重が2500g以下の低出生体重児が生まれる頻度が約2倍ほど高くなっています。
また、口蓋裂、口唇裂(画像)などの先天異常の危険性も高まる。
このような影響は、たばこ煙中のニコチンと一酸化炭素によって胎児と
胎盤系が低酸素状態になったため、胎児の発育障害が引き起こされるといわれています。
・妊娠前に禁煙した場合、子どもの出生体重は、
たばこを吸ってない妊婦と同じレベルになります。
妊娠初期に吸っていても、妊娠3〜4カ月までに禁煙すると、
低体重児のリスクがたばこを吸っていない妊婦のレベルに近づきます。早産、
週産期死亡についても妊娠初期に禁煙すればそのリスクは下がるとされています。
禁煙などによる精神的ストレスは喫煙ほど児に多大な影響を及ぼさないことを、
英国の疫学研究が示している。これは、妊婦が直ちに禁煙すべき根拠の一つとなっており、
日本では母子手帳に「喫煙を直ちにやめる」よう、記載が行われている。
●子供への影響
たばこを吸っている母親の母乳の中には、ニコチンが含まれることが知られています。
また、たばこを吸う量が増えると母乳の中に含まれるニコチンの濃度も高くなるという
報告があります。
1日20本以上たばこを吸っている母親の母乳を飲んだ新生児が、
いらいらしたり、眠れない、吐く、下痢、頻脈などのニコチン中毒症状を起こしたという
報告もあります。
・まわりにたばこを吸っている人がいると、赤ちゃんの尿から、
ニコチンが検出されることがあります。生後18日前後の赤ちゃんでは60%、
生後3週間から1才までの赤ちゃんでは53〜77%に尿からニコチンが出てきているという報告があります。
・母親が喫煙する場合、子どもは肺炎・気管支炎などの呼吸器疾患になりやすく、
また、身体発育にも影響があるといわれています。
・「父母共に習慣的喫煙あり」は、「父母共に習慣的喫煙なし」に比して
約 4.7倍程度乳幼児突然死症候群(SIDSのリスクが高まることが示唆される。
タバコの誤飲にも注意が必要である。
・日本禁煙推進医師歯科医師連盟の斉藤麗子幹事の調査では、
父親が1日20本、換気扇の下で喫煙していた家庭の乳児から、
自然界では存在しないニコチンの代謝産物が検出された。斉藤さんは
「一般家庭では屋外で吸わない限り、完全分煙にはならない」という。
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